第10章 〜流転〜
玲に手渡されたセンサーを頼りにバウントを追いながら、俺は不機嫌だった。
何故かは良く分からない。
否、分かっている。
先の隊主会で、彼奴が視線すら合わせようとしなかったことに、苛ついているのだ。
自分でも、餓鬼かと思う。
然し、どうにもならないのだ。
彼奴が絡んだ感情だけは。
霊圧が冷気を帯びているのか。
後ろを付いてくる松本も、今は何も言わない。
漸く追い付いたバウントは女だったが。
俺は迷いも無く氷輪丸を抜いた。
霊圧の上昇を感知したのか、玲に渡された演算装置が光り、転換率が百に振れる。
戦闘は、平穏を壊したバウントへの、最早八つ当たりに等しいものだった。