第10章 〜流転〜
「事態は火急である!」
一番隊の隊主室で、集まった隊長達の前で元柳斎が太い声で言い放った。
一日も経たないうちに、瀞霊廷の中にまで入り込まれたのだ。
草鹿の荒くれ共を率い、精霊壁をこじ開ける為の巨大な道具を作らせ、空間移動で其処に現れて。
真正面から、進入を許したのだ。
敵の頭の良さに歯噛みするも、霊圧を消す事に長けているバウントの捜索は難航していた。
其処へ。
「あ、やっぱり召集してたね。お爺ちゃん、これあげる」
ひょっこり現れた玲が投げやった物を、元柳斎は受け止める。
最早彼女が隊主会に乱入してくる事に、異議を唱える者も居ない。
「此れは?」
「バウントの霊圧を感知するセンサーだよ。マユリさんが作ってたから、複製してきたの。はい、他の隊長達も」
渡された其れが瀞霊廷の細部で点滅するのを、皆して唖然と見つめる。
「あの時の霊子データか」
白哉の呟きに、玲が反応し、唇に人差し指を当てる。
皆が注目してる中で、そんな事をしても意味は無いのだが。
「じゃあ、後は宜しくね」
あっさりとその場を去ろうとした玲に、若干焦った様な声が掛かる。