第10章 〜流転〜
「ふん、礼など言わないヨ」
「いいよ?本当だったら此処に来なくたって同じ物創れたんだけど、折角局長さんが作った物を無駄にするのも可哀想かなぁなんて思った本心は心の中に秘めといてあげる」
「一々腹の立つ小娘だネ!私に喧嘩を売るとどうなるか、思い知らせてやろうかネ?!」
弄りがいのある涅の反応を楽しんでいる私が居る。
どうやら私にも加虐心と言うものは存在するみたいだった。
「やってみる?此処で?研究成果、消し飛ばしちゃうの?」
出来る限り悪魔的に、くすと笑うとぴしりと青筋が浮かぶ黒い化粧の不気味な顔。
「己の所業、良く覚えておくが良いヨ。瀞霊廷に居る以上、私に歯向かって只で済むと思わない事だネ」
低く唸る様な声は、涅の最大の威嚇なのだろう。
それでも斬魄刀を抜かない所を見ると、彼も正面からでは勝てない事を理解しているようで。
「そう?わかった。でも、私に毒は効かないよ?」
もう一つ笑みを零して、私は彼に背を向けた。
何事も無かったかのように其処を出て行くと、周りの研究員が酷く驚いた顔をしていたけれど。
手の中にあるバウントセンサーをさっさと配ってしまう為、私は足早に其処を後にした。