第10章 〜流転〜
私は一番隊の隊主室…の特別に用意された長椅子でぼぅっとしていた。
十番隊も六番隊も、皆バウント捜索で出払っていて。
部屋の主が居るのが此処だけだった、なんて理由なのだけれど。
何故か副官の雀部さんが凄く気を遣ってくれて。
目の前のテーブルにはお茶やら茶菓子やらが所狭しと並べられている。
それを何処と無く苦い顔で見つつ、隠密機動や刑軍達が持ち寄って来る情報を、地獄蝶を介して各隊に知らせているお爺ちゃん。
何と無く、文句の一つも言いたそうな彼に、
「お茶飲む?」
なんて、見当違いな提案をすれば、深々と溜息を吐き出されて。
「関与しないとはいえ、お主は曲がりなりにも死神じゃろう。捜索にすら出向かず何を寛いで居る」
「バウントの霊圧、探れないんでしょ?」
そうでなければ、幾ら流魂街が広いとはいえ、此処まで捜索が難航する事は無いだろう。
尤も、私には彼等が何処に居るか、分かるのだけれど。
それはさっき白哉が斬ったバウントの霊子データを読み取ったからで。
でなきゃ私でも探すのにかなり集中しなきゃ難しい。
それ程、バウントは霊圧を消す事に長けている。