第10章 〜流転〜
「冬獅郎、乱菊!」
駆けている彼等の後ろに着くと、乱菊が銀灰色の瞳をきらきらと輝かせた。
「玲!」
「…懐に入られた」
「うん、ごめんね?」
知っていて言わなかった罪悪感から、謝ると、冬獅郎はいや、と首を振った。
「関与しねぇんだろ?」
「基本的にはね。ルキアを玩具にしたバウントにはちょっとお仕置きしに行くけど」
何処と無く微妙な顔をした冬獅郎は諦めたように息を吐いた。
「…まぁ、好きにしろ」
「うん。じゃ、情報収集頑張ってね」
ふわりと微笑んで瞬歩で消えた玲に、乱菊が首を傾げる。
「あの子、全部分かってるんじゃないんですか?」
「隊主会で今回の騒ぎには関与しねぇとか言ってたからな。それに、侵入したのはたった六人だ。この程度で彼奴に頼ってられねぇよ」
確かに、何もかも彼女に頼ってしまっては、死神達の仕事が機能しなくなる。
「まぁそうかもしれませんけど。そう言えば隊長。なんか霊圧変わりましたね?」
「彼奴に修行させられたからな」
「えぇ?!羨ましい。それって隊長だけですか?」
「朽木、京楽、浮竹、卯ノ花、狛村、更木、雛森、伊勢、草鹿だ」
「瀞霊廷に残ってた隊長副隊長殆ど全員じゃないですか!」
私も行きたかった!と恨みがまし気にぼやく乱菊に。
「落ち着いたら頼めばいいだろ」
呆れたように溜息を零す冬獅郎。
兎に角情報を集めるため、彼等は瞬歩で流魂街を駆け回るのだった。