第10章 〜流転〜
「白哉?!と…あんたは?」
「瑞稀玲だよ。死神代行さん」
ふわりと笑みを見せると、彼の顔が真っ赤に染まる。
その免疫の無さに、玲は更にくすくすと笑った。
「何が可笑しいんだよ…」
完全に覇気の無くなっている彼は、自分が顔に熱を持っていることを自覚しているのだろう。
「玲。あんまり揶揄ってやるな」
白哉が立ち上がったので、玲は片手を翳してルキアに虹色の光を向ける。
みるみるうちに治ってゆく傷に、死神代行が目を見開いた。
「それは…回復術?なんであんたが」
「さぁ、ね?」
微笑むと、言葉も出なくなった代行から視線を外して、後ろで織姫が巻き込まれた女性の治療をしているのを確認する。
遅れてやって来た十三番隊の死神達に白哉が指示を出しているのを見守った。
霊子の吸収を終えたバウントが、
「私の役目は此処まで」
そう言い残して、姿を消す。
その直後。
懺罪宮が爆音に包まれ、倒壊した。
「派手にやるよね」
「これも知っていたか」
「まぁ、懺罪宮の周りを彷徨いてる知らない気配は感知してたけど」
やれやれと息を吐く白哉に、くすと笑った。
「刑軍だって動いてるんでしょう?」
「そうだな。其方に負担を掛けたいわけではない」
頷いて、ルキアを屋敷に運ぶ白哉を見送って。
玲は瞬歩で場所を変えた。