第10章 〜流転〜
「なら、バウント達の目的は復讐って事か」
冬獅郎が呟くと総隊長は目を閉じる。
「目的は分からんが、奴等はドールと呼ばれる力を操るとの報告が入って居る。気を引き締めて討伐に当たれ」
「おや、殲滅戦かい?」
「無論。異分子を放っては置けぬ」
そこで各隊長達が玲を見遣る。
既に殆どの情報を持っているであろう彼女に。
「私は今回何もしないよ?」
ふわりと笑みを浮かべる少女に、この件は彼女の目的とは関係ないのだと悟る。
「まぁ良い。各隊、流魂街の捜索に当たれ」
元柳斎が指示を出した時、
「失礼します!流魂街第四十八地区にて、朽木ルキアとバウントが戦闘中との情報が…」
伝達係の死神がの言葉で白哉の目付きが鋭くなる。
あっという間に瞬歩で消えた彼を見て、浮竹も慌てて部下に指示を出すため隊主室を飛び出した。
「…玲は?」
「朽木隊長に付いて行ったよ?」
「…何もしねぇんじゃ無かったのかよ」
隊主室には、冬獅郎の呆れ混じりの溜息と、京楽の呑気な笑い声が残った。