第9章 〜修練〜
「わぉ」
「喫驚している暇は無い」
放たれた炎の鳥が氷を溶かし、風の馬が千本桜を打ち払う。
水の狼が黒縄天譴明王を抉り、土の蛇が更木の動きを封じた。
「っち、浮竹!」
「分かった!」
氷の龍を溶かし尽くさんばかりの熱量に、冬獅郎は霊圧を更に上げて耐えながら叫ぶ。
放たれた四つの龍のうち、一つを双魚の理でタイミングをずらす。
白哉は殲景状態から吭景へと変化させ、風の馬を押し留めながら、狛村を見遣った。
「行け、京楽!」
「はいよ。嶄鬼!」
黒縄天譴明王を足場に、玲よりも高く跳ねた花天狂骨のゲームルールが、彼女を縛る。
桜の刃が高速で回転して襲いかかり、双魚の理からも氷の龍が放たれる。
その瞬間、更木が霊圧を跳ね上げて土の蛇を引きちぎり、鬼の形相で玲に刀を振り下ろした。
「ん〜、及第点…かな」
ぱんっと氷が散った其処には、花天狂骨の影響を霊圧で跳ね返し、更木の凶刃を片手で受け止めた玲が居た。
彼女自身は無傷。
しかし、もう片方の手には虹色に色を移ろわせる、恐ろしく美しい斬魄刀があった。