第9章 〜修練〜
「しゃらくせぇ!」
吼えた更木が飛び上がり、玲に斬りかかるも。
ひらりと躱されて、また壁を蹴った。
瞬間、冬獅郎と白哉が氷輪丸と千本桜を振るう。
氷の龍と桜の刃が同時に襲い掛かって、玲を覆った。
風と炎を纏って其処から逃れた彼女の肌は、僅かに切れて、死覇装の袖が凍っていた。
兆候は見えた。
僅かだが。
しかし、狛村が卍解し、黒縄天譴明王を顕現させると、玲が纏う空気が変わった。
「天照。顕現せずに扱える力、解放して」
その言葉と同時に。
虹色の渦が玲を包む。
氷輪丸の龍も、千本桜の刃も、斬りかかる更木も叩き落として。
「そんな攻撃じゃ届かないよ?」
挑発するように笑う玲の傷は、既に癒えていた。