第9章 〜修練〜
氷の翼を羽ばたかせて飛翔した冬獅郎を見て、玲は霊子の刀に炎を纏わせた。
眩しいほどの、白い炎を。
そんな彼女に、刀を振り下ろす。
水と氷の龍が切っ先から現れ、玲を飲み込まんと口を開く。
が、白い炎を纏った霊子の刀が薙がれると、真っ二つに分かれて蒸発し、消えた。
「冬獅郎。一度に操れるのはまだ一頭だけ?」
「…後悔すんなよ?」
くすりと笑う玲に向けて、三頭の龍が襲い掛かる。
それすら片手で払ってみせる彼女に、やはり一対一では無理と悟った白哉が、千本桜を地に落とした。
「卍解。千本桜景厳」
桜の刀が現れる。
刃の奔流が、先とは比べものにならない程圧倒的な質量を持って、少女を襲う。
玲は其れを、刀を持っていない手で風の盾を作って弾き切った。
「連携なさいって言ってるでしょ?」
ふと溜息を漏らした玲が、背に光翼を顕現させる。
それを羽ばたかせると、金の羽が恐ろしい速度で、白哉と周囲の隊長達を襲った。
「っく、あの翼、攻撃も…」
「物見を決め込んでいるからだ」
桜の壁で羽を弾いた白哉が、京楽や浮竹を睨む。
「はは。お気遣いどうも」
守られた京楽は、空笑を浮かべて、斬魄刀を解放した。
浮竹も既に解放状態で、冬獅郎の攻撃を笑いながら避けている玲の隙を窺っている。