第9章 〜修練〜
「ピクニックか、此処は」
「まぁ、良いんじゃ無いか?瑞稀が元気になった証拠じゃ無いか」
呆れて呟く更木に、穏やかに笑って掛け合う浮竹。
重々しく頷く狛村と、無表情に戻って席に座る白哉。
七緒は其処に混ざって良いものかと逡巡していて。
玲が微笑んで手招くと、頬を染めて側へ寄った。
穏やかな食事の後。
羽全てが凶器となる光翼を彼女等に創造するわけにも行かず結局代わる代わる捕まらせて空を駆ける。
「うわぁ!速い速い!もっと速く!」
やちるの要望に応えて、元々光の速度で飛べる翼を大きく広げて速力を上げる。
下から見ているとそれは正しく矢のようで。
けれど、優雅に旋回し、地に堕ちるかと思いきや舞いあがるその飛行は、人目を惹き付けて止まなかった。
「…凄いねぇ」
「まるで鳳凰だな」
金色に輝く翼は、尸魂界で神の化身と呼ばれる鳥獣のそれとそっくりで。
見上げる事しかできない大人達はそんな感嘆の息を漏らした。