第9章 〜修練〜
地面に降りて、翼を消すと、桃がキラキラした目で飛びついて来る。
「玲ちゃん!何それ、綺麗!」
自分と然程身長の変わらない桃なら抱き着かれていても問題無い為、適当に相槌を打ちながらテーブルに料理を並べた。
「玲ちゃん!やちるも!飛んでみたい!」
「うん、じゃあ後で飛ぼっか」
「やったぁ!」
「あ、私も!」
きゃいきゃいと騒ぐ桃とやちるに微笑んで、取り敢えず食事をと座らせる。
「…無邪気ですね」
「いや、空飛べるなら僕も…」
「飛ばしてやろうか?」
卯ノ花の呟きと、便乗しようとする京楽に。
唯一卍解で氷の翼を生成できる冬獅郎がにやりと笑う。
「いやぁ…やっぱ良いや」
引き攣った笑みを浮かべる彼は、この氷を自在に操る青年がまともに遊泳させてくれる気など毛頭無い事を察していた。