第9章 〜修練〜
出来上がった料理を一時的に別空間に移して、修練場所に移動すると、そこに白哉の姿があって、思わず駆け寄った。
振り返った彼に手をひかれて、腕の中に納まって。
人前なのに珍しいと目を瞬かせた。
「皆から聞いた。すまなかったな」
「…うん、もう大丈夫だよ」
微笑んでみせると漆黒の瞳が安堵を浮かべて。
大きな手がするりと髪を撫でてくれる。
が、流石に隊長格の死神達が集まる場所で、ずっとそうしている事に恥ずかしさを覚えて離れようとするも。
「っわ!白哉、降ろしてよ!」
何気なく捕まえられて、横抱きされて。
じたばたと暴れる。
「落ちるぞ」
「いや、寧ろ落として?」
「其方を落とすわけがなかろう」
かなり意味の分からない掛け合いをしながら、彼が向かったのはテーブルで。
「朝餉か?」
「うん、そうだけど」
「ならば此処で「食べないよ?!」」
一向に離してくれそうに無い彼の腕から、光翼を顕現させて一旦飛び上がり抜け出した。