第9章 〜修練〜
修練場所に戻ると、卯ノ花の目が説明しろと訴えていた。
仕方なくテーブルに座ってお茶を淹れ、息を吐く。
「この空間ね、瀞霊廷よりも霊子濃度が高いんだよ」
「確かに、霊力の回復がいつもより早い様には感じますが…」
「あの二人はそれが顕著に出たの。元々霊子を変換して自身の霊力を回復する事に長けていたんだと思う。それをね、多分あの戦闘で意図的に出来るようになっちゃったんじゃ無いかな」
卯ノ花の目が見開いた。
信じられないとでも言うように。
「霊子での回復を意図的に…?!そんな事が可能なら、傷の治療も、霊力の補給も彼等の意思で出来てしまうという事に…」
「その通りね。でも、急速な霊子の吸収は、身体に大きな負荷が掛かる。一見無敵に見えても、体力面では諸刃の剣。それを意思の強さだけで補ってた結果がさっきの昏倒だよ」
暫く無言でいた卯ノ花が、ふっと息を吐いて首を振る。
「無茶苦茶な方々ですね」
「…天才、と言ってしまえばそこまでなんだけど。それが出来ると知ってしまえば無茶ばかりしそうだし。どうしようかな…」
本気で悩んでいる玲は、こんな力を与えるつもりなど無かったのだろう。
だからと言って、霊子変換速度を抑えてしまえば、彼等の生命力や治癒能力まで抑える事になってしまう。
霊力の様に数値化出来るような代物でも無いため、適正レベルに補正するような道具も創れない。
結局、様子を見るしか選択肢は無かった。