第9章 〜修練〜
「あぁそう…」
がっくりと肩を落とした京楽は身に沁みた。
つまりは、先日の鬼事で、玲に勝てる確率など初めからゼロに等しかったのだと。
元々持ち得る霊力が多い上に、斬拳走鬼を一切の無駄なく熟す彼女に、一体誰が勝てるというのか。
霊力の転換率が低いということは、鬼道の威力が落ちる以外にも、斬術でも威力、持久力共に落ちるという事で。
逆に考えれば、転換率が最高値なら、いつもの倍は戦えるという事だ。
「んじゃま、やりますか…」
すっと真剣味を帯びた京楽につられ、卯ノ花、浮竹、七緒も鬼道詠唱を始める。
冬獅郎は玲との会話を終えてから、ずっと鬼道を打ち続けていた。
その飛距離が、少しずつ伸びているのは気のせいではない。
白哉も的へ向き直ると、玲はふわりと微笑んで、修練場所を出た。
なんだかんだ言いながらもきちんと修行する死神達に食事を作る為に。