第9章 〜修練〜
その間に、壁に空いた穴を修復し、彼等の壊した場所を修繕し、幾つかの的を創り出す玲。
それは、真央霊術院にある鬼道演習部屋を彷彿させた。
「さて。制御終わった人、制御装置貸して」
言われるがまま、制御装置を外して玲に預ける死神達。
それに少し力を加えて、彼女は其々に返した。
「数字の色は変わった?もうそれは元の霊圧制御装置に、貴方達の霊力演算機能付け足した物だよ。それは今の封印率と総霊力、扱う術に対する拡散率、霧散率、集束率、転換率を数値化してくれる。つまり、どれだけ霊力を無駄に消費しているかを教えてくれるもの」
その言葉を聞いて、死神達は微妙な顔をする。
彼等とて、曲がりなりにも隊長を任されている者達。
今更鬼道演習を促す様な玲の言葉に素直に頷けないのも無理はない。
そんな彼等に、玲はくすと笑った。
「不満なら、適当な鬼道を彼処へぶつけてみれば良いわ。但し、ちゃんと詠唱してね。じゃなきゃ、数メートルも飛ばないよ?」
挑発するような玲の言葉に中々動かない隊長達を見て、冬獅郎が的に向き直る。
「何でも良いんだな」
「うん」
確認する冬獅郎に、頷く玲。
それを見遣って、冬獅郎は詠唱を始めた。
「散在する獣の骨尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪動けば風止まれば空槍打つ音色が虚城に満ちる」
収束する霊力は、彼が力を増した分大きくなっている。
けれど。
「破道の六十三、雷吼炮」
放たれた雷のエネルギーは、発射地点と的の間で何度も弾け、半分を少し超えた場所で消滅した。
「な…」
目を見開く冬獅郎に、玲が問う。
「冬獅郎、数値は?」
「…33、38、67、62だ」
「あら、思ったより高いね。流石天才」
ふふっと笑う玲に冬獅郎はジト目を向ける。
「嫌味か?」
「冬獅郎の捻くれ者」
ぽつりと呟いた玲は、数値の詳細を口にする。