第1章 〜欠片〜
「端的に言えば、出来ないこと数えたほうが早いって事」
さらりと答えると、冬獅郎は難しい顔をした。
「…因みに出来ねぇ事ってなんだ?」
「失った魂魄を元の身体に戻す事は出来ない…かな」
「他は殆ど出来ちまうのか」
「…ん~…輪廻転生に干渉しない事なら大抵出来るかも」
「…そうか…誰にも言わねぇ方がいいな」
「だよね」
もっと取り乱すのかと思ったけれど、彼は思ったよりずっと冷静な人だったみたいだ。
大体性格を知ってるって言っても、言葉に対する反応までは予測仕切れないから、ちょっと意外。
それよりも、態度が変わらない事が凄く嬉しかったりする。
自分が異質過ぎるのは理解していたから。
「氷雪系だと氷輪丸と被っちゃうし、炎熱系は総隊長だし…どうせなら風雷とかにしちゃおうかな。風と雷操れれば戦闘も不便なさそう」
どんな能力がいいかと悩んでいると、お茶を一口飲んだ冬獅郎が口を挟んだ。
「…創造って言ったな。それは斬魄刀自体も創造出来るのか」
「出来るよ?天照が嫉妬しそうだけど」
うん、それはちょっと怖い。
会ったことないけど、自分の中に居るんだから性格ははっきりわかる。
それなら、彼女の能力制限して、風雷系の斬魄刀になりきってもらうしかないんだけど。
「天照ってのがお前の斬魄刀の名前か?」
「そう。天照が創造。月読が破壊の斬魄刀だよ」
最早なんの警戒心も無くなった私は、冬獅郎に簡単に情報を与える。
此処まで話せば、この先は知ってようがいまいが同じだろうから。