第1章 〜欠片〜
「は、…っはぁ…っ…てめぇ…」
突然術を解いた事に怒りを露わにする冬獅郎。
それでもまだ辛そうだった。
私は彼に気付かれないように、斬魄刀の能力で霊力半減の制御装置を創造し、手渡す。
「それ付けると、前と同じぐらいまで霊圧抑えられるよ。因みに卍解する時は絶対外してね」
「こんなもん何処で…」
「後でね」
訝しむように眉を寄せる彼の腕に、腕輪を付けると、すっと霊圧が下がる。
同時に、顔色も良くなったので、懐から手拭いをだして額の汗を拭いてみる。
近付いたら顔を背けられたけど。
それにしても。
「身長伸びたねぇ」
さっきはちょっと私の方が高かったのに。
もう背伸びしないと顔に手が届かない。
なんだろう。
ちょっと悔しい。
「…複雑だな」
言葉通り、冬獅郎は複雑な表情をしていた。
嬉しいけど、面倒臭い。
多分、そんな顔。
「ふふ。これで冬獅郎も私と一緒だからね?」
「…何がだよ」
「力、隠さなきゃいけなくなったでしょ?」
「…口止め料って言うより、脅しじゃねぇか」
溜息と共に溢れるのはそんな言葉。
でも、私は強制しているわけじゃない。