第1章 〜欠片〜
「…で、書類は?」
粗方話を納得した冬獅郎は、執務机に視線を向ける。
「え?片付けたよ。それより、冬獅郎。ちょっと霊圧抑えてる術解くから、自分でもコントロールして?」
「は?片付けたって…てめ、捨てたとかじゃねぇよな?」
余計な心配をする彼にどんな外道だとくすりと笑って。
「ちゃんと読んで返事書いて、たまたま通りかかった人に運んでもらったから大丈夫。ほら、解くよ?」
人差し指を向けて急かすも、銀髪の彼はいまいち意味を理解してないようで。
「いや、解くって…っ?!」
百聞は一見に如かず。
と言うことで、問答無用で術を解いた。
途端に何倍にも跳ね上がる霊圧。
言葉も出ない程に制御に必死になる冬獅郎。
額から冷や汗が流れ、表情は苦悶に歪む。
やっぱり、自力で制御出来るレベルじゃ無かったかな、と少し他に手を考え出した時。
コツを掴んだのか、徐々に霊圧が下がっていって。
それでも元の霊圧までには抑えきれないのか、前の二倍ぐらいの霊圧でどうにか安定した。