第5章 〜遊戯〜
「…強ぇな」
呟いた更木は血塗れで。
一方の玲は特殊形態の死覇装の袖が少し斬られているだけ。
「それはどうも」
しれっと答える玲の手には霊子を集めて作った金に輝く小刀。
「それで斬魄刀解放もしてねぇんだから、ぞくぞくするな」
「天照は一応、常時解放型だよ?」
「ほう。そうか」
そんな会話の後、再びぶつかる金属音。
体格で劣る玲は更木の凶刃を悉く往なし、体勢を崩させて反撃する。
「鬼道が得意だと聞いていたんだがな」
「刀が苦手だとは言ってないでしょ」
息一つ乱さずに、破壊の権化を避け続け、隙さえあれば攻撃に転ずるその剣術は、端から見る者にさえ不安を欠片も与えない。
「わぁ…すっごく綺麗」
遠目に見ているやちるさえ、その剣舞に魅入られていて。
「情報通りの頑健さね」
更木の左手の腱を断ち切った玲が、少し距離を置いて溜息を吐く。
「は、言ってろ」
鼻で笑った更木は、体力を奪う筈の出血に目もくれず、刀がを振るう。
「即死には結界反応してくれないしなぁ…」
結局止めを刺せない玲は、相手の体力が尽きるまで付き合うしか無いのだった。