第5章 〜遊戯〜
「花風紊れて花神啼き 天風紊れて天魔嗤う…花天狂骨」
解放された斬魄刀に、周囲から集めた霊子の小刀を構える玲。
「え、まさかそれでやりあうつもりなのかい?」
「あら、駄目?」
「僕一応隊長だしさぁ…斬魄刀も出してくれないのはちょっとへこむんだけど…」
本気で悄げているのか肩を落とす京楽に玲は少し躊躇いを見せてから、仕方なく答える。
「これでも十分強度はあるし、斬魄刀は出さないんじゃ無くて出せないんだけど」
「成る程ね、じゃあ君は玲ちゃんであって玲ちゃんじゃない訳だ」
「今更ね」
肯定する玲に、京楽は笑みを消した瞳を向けた。
「なら、加減はしなくて大丈夫そうだね」
「他殺願望なら叶えてあげる」
反対ににっこりと笑みを浮かべた玲に、京楽は花天狂骨を発動させた。
「艶鬼…。後悔しないでよ」
「しないよ」
距離を取った二人は、同時に色を呟く。
「白」
京楽は自らの羽織の色を。
「黒」
玲は自分の死覇装の色を。
お互いにハイリスクな色を口にした事で、一太刀が勝敗を決める衝突。
瞬間、派手な血色が、空を染めた。