第5章 〜遊戯〜
各地点で跳ね上がる霊圧を感じながら、まぁ、そろそろそうなるよね、なんて納得して。
檜佐木を封じた玲は、追ってくる気配を導く様に駆けていた。
追手は二人。
そして、走る先に一人と一つ。
「確かに鬼事なんだけど…彼女の走り方に違和感があるのは僕だけなのかな」
「ううん、私も同じ事思ってた」
後ろの会話を聞きながら、それでも彼らを相手にするのは自分では無いと道を選んで。
降り立った広場に、自分と同じ姿を見つけて、さっと場所を入れ替わる。
「あら、ありがと」
「彼女を傷付けたら怒るでしょ?」
すれ違い様、二人の玲がそんな会話を交わして。
「本当に、玲ちゃんが二人…」
「まさかと思ったんだけど、本当だったとはね」
唖然とする桃と油断無く斬魄刀を構える吉良の前に降りたのは、紛れも無く玲で。
「曲がりなりにも隊長である私にわざわざ紛い物をぶつけるか、瑞稀玲」
入れ替わった玲の前に居るのは、人狼である狛村左陣。
「あら、貴方は判るの?」
狛村と対峙した玲が、不思議そうに首を傾げる。