第5章 〜遊戯〜
砕蜂と正しく鬼ごっこしていた玲は、終わった戦闘の記憶を読み取り、くるりと身体を反転させた。
「逃げるのは諦めたか?」
「私を二人、相手にするのはキツイでしょう?」
幾ら霊圧が上がった砕蜂でも、まだ制御出来ないうちから全力は出せない。
そして、自分なら加減して彼女を倒せるが、先程戦闘を終えて、強い霊圧を探る様にこちらに向かってくる玲には、加減は出来ない事もなんとなく分かった。
「貴様を捕まえるのが私の任。纏めて掛かって来てくれるなら望むところだ!」
逃げに徹する自分に苛立っていたのか、砕蜂は冷静では無くて。
仕方ないと溜息を吐いた玲は、ふっと笑みを浮かべて彼女に問うた。
「ねぇ、砕蜂。今私達が使ってる瞬閧の属性は知ってるわよね」
「雷であろう。それがどうした!」
「なら、こんな使い方は知っている?破道の六十三、雷吼砲!」
手中から放たれた雷のエネルギー弾に、瞬閧の雷が絡みつく。
相乗効果で本来の威力の数十倍にまで膨れ上がったその破道は、目を見開く砕蜂を容赦無く襲った。
条件反射で始解していた雀蜂で受け流そうとするが、膨大なエネルギーに押し負けて吹き飛ばされる。
逆に斬魄刀に雷が絡み付いて、上手く動かなくなった腕に舌打ちをして、纏っていた瞬閧の圧を上げ、出来る限り相殺するも。
「砕蜂の瞬閧は無駄が多いんだよね…」
玲のそんな言葉を最後に意識が遠退いた。