第5章 〜遊戯〜
「あ〜、馬鹿な子も居たのね…」
同期した記憶から捕まるまでの経緯を読み取った玲は、小さく溜息を吐いた。
確かにあんな風に言われたら、そういう衝動に駆られるだろうことは予測出来るのだけれど。
逃げる側なのに自分から鬼の腕に飛び込むのは、馬鹿だとしか言いようが無く。
この場合、思考だけを同期させて理性を同期させるのを忘れていた自分の落ち度なのだろうかと、ふっと空を見上げる。
「大好き、か」
思考は同期している筈なのに、創造体が叫んだその言葉は。
自分にはまだ、良く分からない言葉だった。
創った物が理解出来るそれを、何故自分が理解出来ないのか。
分からなくて、目を落とす。
そろそろ半刻。
他の隊長格達も動き出すだろう。
消えた創造体から戻ってきた霊力を確認して、立ち上がる。
そして、瞬歩でその場から消えた。