第5章 〜遊戯〜
「あれ?ちゃんと加減したのに」
不思議そうに呟いた玲は、少し霊圧をあげただけで昏倒した死神達を見下ろしていた。
完全に目を回している死神に少し触れて、気絶しているだけだと確認し、息を吐く。
「これじゃ、今現世に居る敵と戦うのも厳しいかな…」
余りに呆気なく気絶した死神達を見下ろして、ぽつりと独りごちる。
「おっしゃぁああ!見付けたぜ、瑞稀玲!」
騒がしい声と共に現れた坊主頭の死神と、
「一角。余りはしゃぐと美しくないよ」
優雅にその場に降り立ったおかっぱ頭の死神に。
「…んーと…」
同期している情報網から必死に名前を思い出そうとする玲。
「おらてめぇ!誰?みてぇな目で見てんじゃねぇ!俺は更木隊第三席、斑目一角だぁ!!」
あっさり名乗ってくれた相手に情報検索を止め、取り敢えず少し霊圧を上げてみる玲。
「おや、聞いていたよりも高い霊圧だね。それでも、護廷隊を全て敵に回せるほどのものとは思えないけれど」
少しだけ、眉を顰めたおかっぱの死神に、玲はくすと笑みを零す。
折角精霊廷全域に馬鹿みたいに霊力を食う、魂魄剥離防止結界なんて手の込んだものを張ったのだ。
少しぐらい、遊んだって構わないだろうと。
日頃霊圧を押さえ付けている憂さ晴らしでもするかの様に。
彼等の方へと右手を向けた。