第5章 〜遊戯〜
「おやおや。彼女も厄介な事をするねぇ。只の囮人形…だったら嬉しいんだけど」
京楽の言葉を嘲笑うかの様に、五人の玲のうち、二人の霊圧が同時に上昇した。
「まぁ、あの子に限ってそんな訳無いよねぇ」
やれやれと溜息を吐いた京楽は、此処で情報を待っても意味が無いと判断し、外へ出た。
そこへ、すっと一歩後ろに付く女の影。
「七緒ちゃん、鬼事得意?」
「いえ、隊長達を相手に逃げ切れる自信など…」
「いや、鬼の方だよ?」
「それは、追えという指示でしょうか」
「まさかぁ。あの子が加減してくれるとも限らないし、七緒ちゃん一人で行かせる訳には行かないよ」
「彼女、それほど強いのですか?すれ違った事はありますが、それ程強い霊圧は感じませんでしたが」
「まぁ…能ある鷹は爪を隠すってね。じゃなきゃ山爺に啖呵切ったりしないでしょう」
「そう、ですね」
七緒は今でも骨身に沁み付いて離れない元流斎の霊圧を思い出して身震いした。
「まぁ、このゲームで死者は出ないよ」
京楽は七緒を勇気づける様に、隊主会での玲の通信を思い出し、呟いた。
「ゲーム、ですか」
何処と無く肩の力を抜いた七緒に微笑んで、京楽は歩き出した。
派手な羽織を靡かせて。