第5章 〜遊戯〜
ごうっと上がった粉塵を見遣って、別の場所で寛いでいた玲は溜息を吐く。
思考も記憶も霊力も、全て同期させたつもりなのだけれど。
どうやら一体、過激なのが居るらしい。
いや、完全に人格を映しているのなら、自分の中の戦闘本能が少し表に出易いものと表現した方が正しいのだろうか。
暴れれば敵が増えるだけなのに、と思う玲は気性が穏やかな方らしい。
他の自分も少しづつ違うのだろうか、と霊圧を探って見ると、すぐ近くに気配。
咄嗟に瞬歩で離れたそこは、激しい音を立てて爆散した。
「やはり一撃で仕留められはせんか」
ふっと楽しげに笑みを浮かべる彼女は、ぱちぱちと雷の様な霊圧を纏っている。
「いきなり瞬閧…身体大丈夫なの?砕蜂」
「あぁ、いつも以上に気分が良い。加減する必要も無いのだからな」
戦いに全力を振るえることに喜ぶ彼女は隠密機動だった筈なのだけれど。
と、そんな事を思い出しながら、玲は同じ様に瞬閧を纏った。
「まともに相手する必要も無いんだけどね」
「そう言うな。お前が教えてくれたのだ。この心地良さを!」
ごうと雷がぶつかり合って、天を突く。
どうやら戦いを避け続ける事は不可能な様だった。