第5章 〜遊戯〜
遠くで鳴り響く警鐘の音で、私は開始を悟った。
この広大な精霊廷の敷地内を、ただ霊圧を消して逃げ回るだけじゃ、ゲームにすらならない。
何より、つまらない。
「ねぇ天照。私の分身体とか創れたりする?」
—それは見目形が全く同じ人形をという事でしょうか。
「ううん。霊力、思考、記憶…全て同期させたもう一人の私」
−主の知識、知能、戦術を刻んだ創造体に、霊力、記憶、思考回路を同期させるのであれば。
「じゃあ創ってみてくれる?」
—御意に。
少しして。
その屋根の上から五つの影が飛び出した。
騒がしくなった精霊廷を、身を隠す素振りもなく。
「い、居たぞ!反逆者だ!」
—目的捕捉。繰り返す。目的捕捉!
—位置は
—精霊廷南西区画、三四地点!
—目的捕捉!北東区画、二八地点!
—目的捕捉!北西区画、五八地点!
次々に伝えられる目的の位置情報に、統括室は混乱を極めていた。
「…全部で五人…!霊圧反応は瑞稀玲で間違いありません。これは…」