第5章 〜遊戯〜
石に怒気を向けていた元流斎は、玲の最後の言葉で周りを見た。
一様に、珍しい玩具を見つけて喜んでいる様なキラキラした目で此方を見る隊長格達…(既に力のある日番谷と朽木、砕蜂は例外として)に、山本は深い溜息を零した。
因みに、涅と浮竹は本日欠席だ。
『というわけで。副隊長さん達にはこの特典の事を教えてあげれば士気上がりそうでしょ?
席官以下の隊士さんたちには、さっきの反逆?のお話を真剣に伝えてあげてね。
最後に一つ。今日だけは周りの損害を気にせずに本気で掛かってきていいよ。
終わったら全部元に戻してあげるから。死者が出ない様に特殊結界も張ってあるし。
これで文句ないでしょう?お爺ちゃん』
「お主…儂直々にとっ捕まえて説教せねばならんようじゃな」
『あら怖い。じゃあ頑張って逃げるね。そろそろ開始だよ』
その言葉を最後に、紫紺の通信石は粒子状に砕け散った。
「…まぁまぁ山爺。良いじゃないの。偶にはゲームで熱くなったってさ」
「護廷隊を動かす以上、そこには責任と矜持が有ろうが」
「あの子に対して矜持なんて持ってもねぇ。砕かれた衝撃で膝付くぐらいなら、最初から持っていかない方が良いと思うけど?」
「…まぁ良い。各自好きに動くが良い。守護配置とて知られて居れば意味は無い。が…誰でも構わん、彼奴を絶対に捕えよ!」
ごうと上がる霊圧をもって背に修羅を顕現させる山本に、乗り気でなかった隊長達もさっと蒼ざめ、返事した。
最早山本の霊圧が殆ど効かない日番谷と朽木は。…誘き出すか…と、甘味処に向かう銀髪。
茶室ならば静かだろうか、と…安息の地を探す漆黒。
彼女に刀を向ける心の準備が、まだ出来てはいないが故に。