第5章 〜遊戯〜
「これは?」
「彼奴は、通信機と」
山本が眉間に皺を刻むと、ちかりと光る紫紺の石。
『あ、お爺ちゃん、聞こえてる?』
「その呼び方は止めよと言うたじゃろう」
『よし、聞こえてるね。じゃあ懸念事項を先に取り除くよ。
私は今、精霊廷内にいる全ての死神の情報は持ってる。
けれど、配置とか作戦とかそこまでの情報は探らないから安心してね。
後砕蜂、起きたんだ。霊圧は制御出来そう?』
完全に一方的に見えた玲の通信が、指名して黙った為か、他の隊長が皆、砕蜂に視線を向ける。
「は…いや、正直なところ、この霊圧で瞬閧など…」
『うん。じゃあ、制御装置送るね』
その言葉と共に、砕蜂の目の前に空間転移してきた白の腕輪。
『で、お爺ちゃん。どんな設定にするつもりだったの?』
この展開で話を振られた元流斎はぴしりとこめかみに青筋を浮かべた。
「お主のそれで全部終いじゃ!余計な事をしおってからに!」
『まぁまぁそう怒らないでよ。じゃあお爺ちゃんが考えそうな台詞ね。
私は反逆を目論み、脱走しました。未の終刻までに私を捕縛出来なければ、精霊廷を消し飛ばします!
と、こんな感じで良い?因みに捕まえられたら、完成系の潜在霊圧制御装置をプレゼント。魂魄を自動で補強し、意識飛ばさずに潜在霊圧を身体に慣らせる優れものです♪砕蜂と冬獅郎と白哉には霊圧上昇の効果は無いけど。今制御仕切れてない霊圧を制御するのに結構使えるかも』
「脅しより特典の説明の方が長いわい!それともうちと悪ぶって演技出来んのか!」
『無茶言わないでよ。全部今でっち上げたんだから。でも、制御装置は本当だよ?欲しいでしょ?』
「隊長格が物につられて鬼事などする訳無かろう!」
『えぇ〜これ創るのに凄く霊力食うから一個しか創れないのに?本当にそうかな』