• テキストサイズ

〜泡沫〜《BLEACH》

第4章 〜華奢〜



「…人に拒絶されるのが怖いか」


見透かすような漆黒の瞳に、私の弱さを暴かれる。

吸い込まれる様な真っ直ぐな瞳に、もう嘘など付けなくて。

小さく頷いて肯定を示した。

どうしてこんなに恐ろしいのか分からない。

けれどもし、この人に彼と同じ事を言われたら。

私はまた、自分自身が消えてしまうかのような、あの途方もない不安に襲われるのだろう。

私は意志の力で形を成したけれど。

そこに存在する事を認めてくれるのは彼等だけで。

私が人と同じ、心を持っている事を理解してくれるのは彼等だけで。

もしこの人達の中から、私という存在が消えてしまえば。

多分私は…


「もう良い。何も考えるな」


白哉にそっと抱き締められて、漸く私は自分の呼吸が酷く乱れている事に気付いた。

優しく髪を梳かれて、息の仕方を思い出す。


「すまぬ。其方を追い詰めるつもりは無かった」


彼の言葉に悪気が無いことぐらい分かってる。

けれど私の心は、私が思っていたよりずっと脆いらしい。


「ごめん、なさい」


「何故謝る?玲。其方は悪くないだろう」


彼の羽織をきゅっと握って、胸に顔を埋めた。

一瞬、私の中で天照の光が弱まって、月読が身動ぎしたのを感じ取ってしまって。

背に悪寒が走って、しがみ付かずには居られなかった。

白哉は何もそれ以上言わずに、私の背を撫で続けてくれた。

/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp