第4章 〜華奢〜
行きすがら、呆然とした様な、恍惚とした様な、数多の視線を無視し続け。
隊主室の扉を開くと、驚きに見開いた白哉と目が合った。
「…えっと、白哉昨日ごめんね?」
取り敢えず昨夜の事を謝りたくて、話を切り出すと、彼は無言で何時も首に巻いている紗を外し、手招きする。
大人しく側に寄ると、肌触りの良いそれを肩に掛けられて、私は目を瞬かせた。
「…ねぇ、白哉。これすっごく高い物の気がするんだけど気のせいかな」
陽の光を通す程に薄い生地に見えるのに、凄く温かくて、良く見れば細か装飾が入っているそれは、良く知らない私から見ても凄く高そうで。
「気にするな。それよりも、そんな姿で居られる方が目に毒だ」
「…ごめんね、見苦しかった?」
少し落胆して彼を見上げると、頭が痛いとでも言いたげに溜息を吐かれた。
「…案ずるな。其方は、美しい。それ故に肌を隠さねば面倒な事に巻き込まれる」
「…白哉に、褒められた」
何となく恥ずかしくなって、顔を背けると、くいと引き寄せられた。
ふわりと香る彼の香りに、抱き寄せられたのだと悟って見上げると、手で目元を覆われる。