第4章 〜華奢〜
丁度出来上がった朝食を持って現れた冬獅郎に
「これ何処で売ってるの?」
と問うと。
「気に入ったのか?」
皿を並べながら問い返されて頷いた。
「今度連れてってやるよ」
「本当?」
ぱっと目を輝かせると、冬獅郎は苦笑を浮かべた。
会った時と比べると、良く笑う様になった冬獅郎に笑みを向けて。
作ってくれた簡単な朝食を食べる。
簡単って言っても、焼き魚とか、具沢山のお味噌汁とか、どうやってこの短時間で作ったのかと少し首を傾げたくなるような物だったけれど。
この人以外と家事スキル高いのかもしれない。
先日情報で覚えたばかりの私は此処まで手際よく出来ないから。
「お前が作った方が美味いけどな」
表情で考えていることが分かったのか、そんな事を呟く冬獅郎のそれは。
「情報量多いだけだもん」
私には軽い嫌味に聞こえて頬を膨らませる。
そりゃあ何十年生きてる彼と、形を成してたかだか数日の私が張り合えるわけ無いのだけれど。
「ただの慣れだろ」
「じゃあもっと、作る」
何となく悔しいのは何故なんだろう。
意外と私負けず嫌いなんだろうか。