• テキストサイズ

〜泡沫〜《BLEACH》

第4章 〜華奢〜



日の光で意識が浮上して、けれど酷く安堵する香りにまた微睡みに引き戻される。

目の前の浴衣を無意識に掴むと、小さな溜息が落ちてきて。


「玲、起きろよ」


耳許で囁かれる声が擽ったくて首を竦めると、かりっと耳を齧られて、背に走った衝撃に跳ね起きた。


「っー冬獅郎!」


ばっと噛まれた耳を抑えて彼を睨むと


「耳、弱過ぎだろ」


くっと意地悪な笑みを浮かべて、からかって来る銀髪の青年。

一緒にベッドに入ると、結局いつもの様に抱き締めてくれた彼は酷いことは何もしなくて。

けれど、どことなく吹っ切れた様に見えるのは気のせいなんだろうか。


「不意打ちなんて卑怯だよっ」


尚も可笑しそうに手で口許を隠す冬獅郎をきっと睨むと。


「ふぅん…なら、不意打ちじゃなきゃ良いのか?」


そう言って笑みを深くする彼に、軽く脳が警鐘を鳴らして。

ベッドから飛び降りると、追っては来ない所を見ると、揶揄われただけの様だった。

むっとしながら浴衣を軽く整えて、キッチンに立つと


「良いから座ってろ」


後から来た冬獅郎に追い払われて。

淹れてくれた紅茶と呼ばれるお茶に口を付けて、程よい渋みと癖になる清涼さに、綺麗な色のそれを見つめる。

/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp