第4章 〜華奢〜
酔いはある程度覚めたのか、自分でシャワーを浴びに行った玲を見送り、自己嫌悪する。
「馬鹿か、俺は…」
もし彼奴が怯えて逃げ出しても、自分を警戒する様になっても。
本気で拒絶されたとしても、この感情を殺す事などもう無理に等しいと分かっているのに。
自分で自分の首を絞めようとするこの面倒な性格は、どうにもならないらしい。
深く溜息を吐いた俺を
「冬獅郎、疲れたの?」
髪を濡らしたままの玲が覗き込んで来る。
琥珀の瞳はいつも通りで、そこにはもう警戒の欠片もなくて。
俺は色々と諦めた。
結局、俺が自分を制御出来れば良いだけの話だ。
此奴を傷付けないように、自分の首を絞めない様に。
「…いや、俺も入るか」
「うん。あ、冬獅郎、キッチン借りて良い?」
「何するんだ?」
「だって、今日の冬獅郎、飲んでばかりで食べてないでしょ」
疑問符すらない、確信を持った言葉に一瞬言葉を失う。
「だから作るね」
「…悪い」
見ていたのか、それとも何処かで気付いたのかは分からない。
それでも、ふわりと暖かくなった心に自嘲して。
俺は浴室に入った。