第4章 〜華奢〜
「襲われてぇのか」
低い声で囁いた。
けれど玲は瞳を暗くするだけ。
「とーしろ、怒ったの?」
しゅんとして回していた腕を外した所をみると、効果はあったようだが。
こんな風に勘違いしたままでは意味がない。
華奢な腕を掴んで引き寄せて、敢えて荒く深い口付けをした。
「ふ…んんっ…やっ」
ごぅっと玲の霊圧が上がって、俺との間で弾ける。
反動で少し開いた距離。
つっと涙を溢した瞳は、困惑と恐怖で揺れていた。
「…意味、分かったろ。さっさと部屋戻れよ」
琥珀の瞳に初めて映る警戒の色に、ずきりと痛む心に蓋をして。
出来る限り冷たく突き放せば、見開かれた瞳から涙が溢れた。
「と、しろ…」
「怖いんだろ。震えてるぜ」
かたかたと震える身体を自分の腕で抱き締めて、涙を溢す玲は、しかしそれすら綺麗で、俺の欲を煽る。
頼むから、さっきので懲りて部屋に戻ってくれと願う反面、泣いている此奴に謝って、慰めたくなる俺がいる。