第4章 〜華奢〜
「むぅ…」
降ろしてやらなかったのが不満だったのか、それともそこが気に入ったのか。
俺に腕を回して首元に頭を埋める玲を出来るだけ視界に入れない様にしながら、自分の理性が切れない様に、瞬歩で駆ける。
「涼し…」
途中そんな事を呟いた玲の吐息が首元を掠めただけで、ぞくっと身体が反応した事に、驚いて足を踏み外しそうになった時は焦った。
どうにか隊舎に辿り着き、玲を部屋に押し込もうと試みるも
「やだぁ…とーしろっ…」
泣き出さんばかりの表情に凍り付いて敢えなく断念。
結局自室に連れてきてしまった自分の意思の弱さに溜息を吐く。
取り敢えず横になれば落ち着くかと、ベッドに降ろそうとするが
「…一緒に寝よ?」
潤んだ瞳で見上げられ、どうにか理性を繋ぎ止めるために目を閉じた。
「取り敢えず、水でも飲め。持って来てやるから」
「むぅ…あ、お風呂」
「…頼むから一人で入れよ?」
「…や」
妙に聞き分けの悪い玲に、再び溜息。
なんだこれは。
新手の拷問か。
こんなんで理性持つ奴いんのか。
いっその事少し脅せば離れるか?
口付けしたって首傾げてるような此奴が、意味を理解出来るはずもねぇ。
なら、少し警戒させれば…そう思って。