第4章 〜華奢〜
琥珀色の潤んだ目。
朱く染まった頬。
乱れた吐息。
俺は今、玲を素直に乱菊の元に行かせた事を本気で悔いていた。
普段から直視するのを躊躇う様な此奴が、酔って理性を無くしたら、最早危険物だ。
男の理性なんて風前の灯火。
現に最初に絡まれた浮竹は顔を朱くして今も咽せ続けているし、朽木までもが逃げる様に帰った。
京楽は真顔になって押し倒そうとした瞬間に気絶させている。
「と…しろ…?」
目を合わせない様に顔を背けているのが不満なのか、伸ばされる手を掴んで止めさせて。
俺は違う席で飲んでいた副官達に視線を向けた。
檜佐木は玲にあてられて突っ伏し、雛森は寝ていて、松本は狂った様に笑っている。
阿散井はまだ目が覚めていない。
まともなのは此方に哀れみの様な、謝罪の様な、よく分からない視線を向ける吉良と、未だ気管に入ったらしい酒に咽せている浮竹だけ。
ぎゅうと腰を締め付けられて、思わず視線を戻すと、涙目で見上げる琥珀の瞳と目があって。
どくりと動悸が跳ね上がった。