第1章 聖なる夜に(神田夢)
思っていたよりも長期間に渡る任務になり、神田は内心焦っていた。
おまけにこの雪のせいで汽車は遅れ、余計に帰るのが遅くなった。
教団に着き、汽車の中で仕上げた報告書をコムイに提出しに行った。
早々に室長室を後にしようとした時、コムイに言われた。
「神田くん、今日何の日か知ってる?」
「ああ?知らねえよ。」
急いでいる所を引き止められ、明らかに苛立つ神田。
コムイは苦笑いしながら神田に告げた。
「今日はクリスマスだよ。」
神田の動きが一瞬止まった。
今からシュリの部屋に向かう予定だが、何も用意していない。
思いの外任務が延びた事と、早くシュリの元へ帰らなければという焦りから、そんな事はすっかり頭から抜けていた。