第3章 記録にしないで(ラビ夢)
オレ達が教団に来た時、丁度葬儀中だった。
沢山の棺と、消毒液の臭い。
どう見ても負け戦だ。
自室を用意されたオレ達は、とりあえず部屋に入った。
「あれじゃ負け戦ね。」
ベッドに腰を下ろし、シュリが呟いた。
「そうだな。生きてた連中も怪我人ばっかだったさ。」
「まぁ、今まで見て来た中で一番大きな戦みたいだしね。」
「…死ぬなよ、シュリ。」
シュリは鼻で笑った。
「万が一私が死んでもラビが後継者として生き残れば問題ないじゃない。」
「いや、そうじゃなくてさ…。」
全てを記録として残していくために、私情を挟むなとじじいに幾度となく言われてきた。
解ってはいるが、シュリに対してだけはそう思うことが出来ない自分がいる。
その辺りはシュリの方が割り切れているのか、簡単に先程の様なことを言う。