第1章 『近くて遠い』
途中で調べた隠れ家的なレストランに予約を入れた。
「ここだな」
「大丈夫かな?」
「なにが?」
「人とか多くないかな?」
「大丈夫だよ、個室を予約したし。よし!到着!!」
店の駐車場に車を止めた
「私、少しあとからお店に入るよ」
「え?マジで?……うん、わかった、じゃ先に入ってるね」
マイコは本当に俺と出かけるときは慎重になる。
誰のためなの?
日本家屋をそのままお店にしてるみたいな雰囲気のいい日本料理屋さんだった。
ガラガラと音がする引き戸を開けると、着物の店員さんがいて予約の名前を告げると、石畳の廊下の奥にある個室に通された。
一人でこんなところに居るのがなんとなく場違いな気がして落ち着かなくて部屋をきょろきょろしてしまう。
畳の上に大き目のテーブルがひとつドンと置いてあってドラマなんかで見る政治家が密会する料亭みたいだな?と思いながらマイコを待ち遠しく思いながらお品書きとかかれたメニューに目を通していた。
5分位したころだろうか?
「お連れ様がこられました」という声のあとにマイコがそろっと顔をだした
「あ、はやくー、こっちこっち」
やっと俺の正面に座った。
「なんか高級そうなお店だねぇ?」
「でしょ?なんかさー、ちょっと一人で緊張しちゃった、へへ……あんま、こういうとこ来ないからさ」
「私もー」
「ほんとに?なんかマイコは来てそう」
「え?こんなとこ来ないよ~」
「そう?じゃあ、嬉しい?」
「うん」
無邪気に頷かれると自然に笑みが零れる