第2章 『見えない相手』
「いた」
「なんで」
俺はちょっとしたパニックだった
「なんで電話出てくれないの?そんなに怒ってるの?」
心配そうな顔で近づいてきた
まともに目を見れなくて、視線をはずした
「怒ってないよ」
「じゃあ、どうしたの?」
「別に・・・・・・」
「別にって、なんかなかったらあんな風に帰らないでしょ?ごめんね?でも、あれは…」
「だからもういいってば、もういいよ」
酔ってるから余計に感情的になる
こんな状態で会いたくなかった
「私、どうしたらいいの?」
テーブルの上にある飲みかけの酒をチラリと見て
眉間にしわを寄せ
詰め寄られたら、もう逃げられなかった
「お前、本当は誰が好きなんだよ」
「え?誰って」
「他に付き合ってる奴がいるの?」
言ってしまった
「え?」
明らかに動揺してるように見えて
その姿が余計に俺の心をえぐって行く
「さっきの電話だってそうだろ?あんな……あんな時に俺放り出してあっちを取ったんだろ」
ヤキモチだってわかってる。でも、とめられなくて