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ラ・カンパネラ【PSYCHO-PASS】

第18章 硫黄降る街


――その手はもう、血塗られているのに。



「あぁ、うん。わたし、こんなにあなたのことがすきなんだね。すき、だね。」




公安に通報しろ仕込みじゃねーよなwwwマジか!隠れとけ!逃げ遅れたか…関係ない人まで巻き込んだらどうするんだよゴミは処分されるべきだその思考きめぇぇぇぇどうせ社会になんの貢献もしないクズどもだオレらのことか?公安局が駆除すべきだったお前らもう色相濁るだろそろそろマジ逃げねーと正当防衛正当防衛正当防衛正当防衛







「――落ち着かないかね?」

紅茶を持って来たチェ・グソンに槙島は尋ねる。
彼の膝には泉が寝息を立てていて、彼はそっと彼女の髪を梳いてやる。

「そりゃあね。不安にもなりますよ。果たしてここから先に何が待っているのか。この街がどうなってしまうのか――。」
「君のそう言う普通なところ、凄く良いと思う。僕も君も極普通で本質的に在り来たりな人間だ。」
「――フッ。その姫さんもですか?」

チェ・グソンは槙島の膝でまるで猫のように寝息を立てる泉に視線をやる。

「あぁ。勿論。彼女は僕らの希望だ。」
「しかし驚きましたね。あなた方がまさか兄妹だったとは。」
「――義理の、だけれどね。束の間の家族ごっこに過ぎないよ。」

そう言いながらも、槙島の手は尚も優しく泉の頬を撫でる。

「それでも。確かにあの1年は幸せに満ちていた。」
「――憎いですか?その幸せを壊されたのが。」
「どうかな。――壊れなければ、果たして泉は僕の手の中にいてくれたんだろうか。そこが分からないとその質問には答えられないな。」
「――それじゃ姫さんが起きてから聞いてみるとしましょう。」

その言葉に、槙島はふっと笑う。

「自分の事を欲張りだと思った事はないよ。当たり前の事が当たり前に行われる世界。僕はそう言うのが好きなだけでね。」
「極普通で在り来たりな我々が、普通で無い街に犯罪を仕掛ける。」
「普通で無い街、か。何だろうな。昔読んだ小説のパロディみたいだ。この街は――。」
「例えば――。ウィリアム・ギブスンですか?」
「フィリップ・K・ディックかな。ジョージ・オーウェルが描く社会程支配的でなく、ギブスンが描く程ワイルドでもない。」
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