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ラ・カンパネラ【PSYCHO-PASS】

第13章 深淵からの招待


――私の為に死んでくれますか?


「愉悦と、享楽。私を満たしてくれるのは、貴方だけ。」




「何故です?!この男の為に我々がどれほど――!」
「今回のケースと同じだよ。」
「――?!」
「事実上の現行犯、そしてあらゆる物証の裏付けがあったにも関わらず藤間幸三郎にはドミネーターは反応しなかった。彼の犯罪係数は規定値に達していなかったのだ。」

局長が語る事実を宜野座は呆然と聞いていた。

「我々はこうしたレアケースを『免罪体質者』と呼んでいる。」
「――免罪、体質?」

まるでマリオネットのように、宜野座が繰り返す。

「サイマティックスキャンの計測値と犯罪心理が一致しない特殊事例。確率としては凡そ200万人に1人の割合で出現し得ると予測されている。槙島聖護の件についても驚くに価しない。この男は3年前の事件にも関与していた節があるのだろう?藤間と槙島――。二人の免罪体質者が揃って犯罪に及んだからこそあの事件も捜査は難航を極めた訳だ。」

その言葉に、宜野座はずっと疑問だった言葉をぶつける。

「――局長。免罪体質、とは。」
「君の言いたい事は分かっている。日向くんのことだね?」
「はい。彼女は――、それに該当するのではないのですか?それに今回の件、もしくは3年前の事件ですら彼女が関与していた可能性も――!」

声を荒げた宜野座に、局長は片手で制する。

「――宜野座くん。彼女の辞職を認めたのは私だ。これがどう言う意味か分かるかね?」
「は――?」
「先程、藤間幸三郎の事件は緘口令が布かれたと伝えたが。――同様の事件は果たしてこれだけだったと思うか?」
「――仰る意味が分かり兼ねます。」

その言葉に、局長は少しだけ考え込んだ。

「――いや。忘れてくれ。これ以上はいくら君でも話せない。とにかく日向泉の件に関しては君達の憶測や捜査は無用だ。彼女は一般人に戻った。重要参考人としての同行は許さない。」
「しかし――!本件に関しては常守監視官の証言があります!槙島と一緒にいたと――!」
「――宜野座くん。逆を言えば、常守監視官の証言しか証拠は無いのだな?」
「は――?」

宜野座は探るような局長の視線に、訝しそうに眉根を寄せる。
けれどもそれ以上の問答を許さないとばかりの視線に、宜野座は仕方なく質問を変えた。
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