第8章 あとは、沈黙。
――明日を求めて空を仰いだ。
「君が僕を信じてくれるなら、それだけでいい。僕はそれだけで報われるから。」
「――新しい作品を仕上げたら今度はどこに展示するつもりだい?」
「そうですね。どこが良いかしら。なるべく大勢の目に付く賑やかな場所を探さないと。」
その言葉に、槙島は答えなかった。
「手がかりは皆無、か。」
「更に笑えない新情報~!2年生で二人ばかり寮から消えた生徒がいるそうで。実家に問い合わせても帰宅してない。完璧に行方不明っすよ。」
ドローンに変化していた縢が両手を上げて言う。
「しかし妙な話だな。校舎も学生寮も軍事施設並みの厳戒体制。ここから犠牲者を連れ出す方法なんてあるのか?」
「そもそも何故今になって桜霜学園の生徒ばかりを標的にする?」
宜野座の言葉に、六合塚が答える。
「藤間に取ってこの学園は言わば古巣です。どこか警備の穴になる抜け道を知っていたのかも。」
「――犯人は藤間幸三郎じゃないわよ。」
カツカツとハイヒールを鳴らしながら、泉が入って来る。
「泉?!お前、一体どこにいた?!」
「それより。これは藤間の仕業じゃないわ。芸が無さ過ぎる。」
「芸だと?」
宜野座が目を細めれば、泉は写真を見せる。
「恐らく慎也は気付いてるはずよ、伸元。3年前の犯人は犠牲者になんらかのメッセージを持たせようとしていた。場所にしたってホログラフイルミネーションの裏側、高級料亭、動物園、アイドルがライブ用に組んだステージの真上。でも今回は続けて公園。芸が無いと思わない?」
「芸って、泉ちゃん――。なら犯人は?」
「――子供の悪戯よ。程度の低い、ね。」
冷たく泉が告げれば、その場が静かになった。
「そこまで言うんだ。犯人の目星を付けているんだな?」
宜野座の問いに、泉は頷く。
「これを見て。王陵牢一と言う画家の絵よ。」
「悪趣味ィ――。って!コレ!」
縢が気付けば、泉は頷く。
「そう。遺体とそっくりでしょ?」
「王陵牢一、だと?」
「その娘、王陵璃華子を重要参考人として捕らえるわ。この学園にいるはずよ。探して。」
泉はそう言うと、部屋を出て行く。