第7章 紫蘭の花言葉
――ほらごらん、月が嘲笑っている。
「神様お願いです。いるならどうぞ、一度だけ殴らせてください。」
「――ユーストレス欠乏症、ですか?」
泉が問えば、男は優しい笑みを浮かべる。
「聞いた事あるかな?」
「えぇ。私もその一人ですもの。」
「おやおや。ここにも一人いたのか、この世界に見放された哀れな患者が。」
クラッシックが流れる部屋にクスクスと男の笑い声が響く。
「――槙島先生。今日私がここを訪れた理由をご存知でいらっしゃいますか?」
「さぁ?母校に訪れたついでに僕の顔を見に来てくれたんじゃないのかな?」
「じゃあ、何故母校に来たと思われます?」
そっと槙島の手が泉の頬を撫でた。
「――2件目、か。」
「これが藤間幸三郎の犯行なら6件目ですよ。」
六合塚の言葉に、宜野座は拳を握った。