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ラ・カンパネラ【PSYCHO-PASS】

第3章 飼育の作法


――哀しい程に、純粋で。




「おかしいね。こんなに、こんなに、こんなにね。好きだった、はずなのに。」





「――宜野座監視官。日向監視官。」
「――何だ?」

ジャンパーを着ながら宜野座が答えれば、泉も朱を振り返った。

「私、執行官の皆と上手くやって行けそうな気がします。」
「それは同僚としてやっていけそう、と言う意味か?それとも調教師としてやっていけそうと言う意味か?」

宜野座の冷たい視線と言葉に、朱は思わず黙り込む。
泉はその様子を黙って見ていた。

「愚か者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言う。君が愚か者でない事を祈ろう。」

辛辣に告げた宜野座に、泉は苦笑する。

「――酷いこと。」
「真実だろう。――お前はどっちだったんだろうな?」

その言葉に、泉は哀しそうに笑った。





















「ようこそ、刑事さん。」
「――現場を見せて頂くわ。」

現れた所長に泉が話しかける。

「勿論。案内しましょう。」

所長に続いて全員が中に入る。

「ここでは組みあがったドローンの試運転を兼ねた安全点検を行っています。他の工程全て機械任せですが、最終チェックだけは今も昔も人間の手でやるしかない。見ての通り危険な業務です。」
「デバックの方々にとってもかなりの負担なのでは?」

朱が問えば、所長が深く頷く。

「そうですね。実際ここは外と違ってストレスケアの手段が乏しい。ネットに接続出来ないので娯楽の手段も限られていますし。」
「オフラインなんですか、ここ?」
「回線そのものが設置されていませんし、この建物自体が電波暗室になっています。なので外部の通信網にアクセスする手段は一切ありません。ハッキング対策としては最も効率の高い保安体勢です。」

その言葉に、全員が息を呑んだ。

「――ゾッとするね。陸の孤島かよ。」

縢の言葉に、泉は笑った。

「秀星には無理でしょうね。」

そう言いながら、泉は一人の男を見ていた。
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