第27章 遠い明日から、過ぎ去った昨日から、僕を呼ぶ声がした
「変わんねぇな、アイツは。お前らは何つ~かそのままでいろよ。」
「フン。お前は、変わったな。――原田のお陰か。」
少しだけ纏う雰囲気が変わった不知火と左之助を千景は見る。
「俺は何もしてねぇけどな。多分手にして失ったものが多すぎたんだ、お互い。」
左之助は無意識に、ギュッと拳を握り締める。
「失ったものか。そうかも知れぬな。だが全て失ったのならまた手に入れれば良いだけだ。」
「そうかも、な。」
多分、二人の脳裏を過ぎったのは一人の男。
彼は新しいものを手にする事を拒んで散って行った。
「どちらが正しいとは言わぬがな。――だが少なくとも貴様は、滅びるよりも生きる事を選んだのだろう?」
それは左之助の心に深く突き刺さった。
「なぁ、風間。さっさと入ろうぜ。凍えちまう。」
「やれやれ。何でウチにお前達を招かねばならぬのだ。――仕方ないからさっさと入れ。」
「相変わらずツンデレだな、お前。」
「――北斗、噛んで良いぞ。」
その瞬間、不知火の悲鳴が上がったのは言うまでもない。