第21章 沈む太陽と命のサイクルと、哲学者の振りをする私
「風間!いたか?!」
その頃。
鬼の里では綾女がいなくなった事で、騒然となっていた。
何より頭領である千景の機嫌が最高潮に悪い為、空気がピリピリとしていた。
「――いたら俺がここにいると思うのか?」
「そらそうだな。」
触らぬ神に祟りなし。
不知火は心の底からそう思った。
「風間!綾女を見付けました!」
「何?!どこにいた?!」
しばらくして戻って来た天霧の言葉に、千景は立ち上がる。
「――それが。新撰組の屯所に運ばれたと。」
「新撰組――。」
その名前を忌々しそうに呟けば、千景は刀を握った。
「風間――?」
不知火が名前を呼べば、その目は怒りに満ちていた。
「丁度良い。新撰組を潰して女鬼諸共、連れ帰ってやる。行くぞ、ついて来い。」
そう言えば、千景は屋敷を後にする。
「ダ~メだ、ありゃ。綾女じゃないと止めらんねぇ。」
「同感だな。とにかく一人で行かせる訳には行かぬ。我らも行こう。」
「へ~い。ったく。手の掛かる奴らだぜ。」