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鬼の嫁入り【薄桜鬼】

第18章 欲しい言葉をすべてくれたあなたに私があげられるものは、


愛してると云った貴方に、せめてもの報復を。





Ep-18:欲しい言葉をすべてくれたあなたに私があげられるものは、






それは聞かなくて良かったこと。
知らなくて良かった真実。
夜。
隣に寝ていたはずの千景がいない。

「――千景?どこ?」

辺りを見回すが、千景の姿はない。
綾女は不安そうに立ち上がれば、屋敷を探し回る。
やがて一つの部屋に明かりが灯っていることに気付く。

「――あ。」

千景の後姿を見付けて入ろうとすれば、ふと足を止める。
中には天霧と不知火もいたからだ。

「風間。本当にあの女鬼を娶るつもりなのですか?」

その言葉に、心臓を抉られた気がする。
だって私は、どうやっても『彼女』の代わりにはなれないのだから。

「我らには子孫が必要だ。」

やがて告げられたのは、重い重い真実。

「綾女はどうすんだよ?!」

不知火の声が轟く。
綾女はふらつく足でその場を後にした。
ダメ。
私の存在が枷になるのだけは許されない。
虚ろな頭で、綾女は外に飛び出した。

「――綾女はこのまま何も変わらない。アイツは必要だ。」
「それで納得しますか?」

天霧の言葉に、千景は口を紡ぐ。
すると外から障子をカリカリと引っ掻く音がする。

「――?どうした、北斗。」

珍しい、とばかりに千景は障子を開けてやる。
すると北斗が懸命に何かを伝えていた。

「北斗?」

嫌な予感がして、千景が名前を呼べば北斗は付いて来いとばかりに走り出す。
その瞬間、千景の脳裏に綾女の顔が浮かぶ。

「――まさか?」

北斗の後を追えば、やがて着いたのは誰もいない寝室だった。
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